今日、わたしが思うこと

先日、宇宙飛行士の野口聡一氏が自宅待機のこの状況について、宇宙船に乗っているのと同じだと表現されていました。話す機会がない、食べたいものが食べられない、行動範囲が限られるといったところで共通しているとのことでした。そんな中で大切なのが「ルーティーン(規則正しくすること)を作ること」「目の前のできることをする」だそうです。野口氏は毎朝起きた時に身体を動かすというルーティーンを自分で決めて実行していたそうです。

「話をすることで少し楽になる」「自分だけだと思っていたのに、同じような人がいた」と参加されたご遺族さまが思えることは遺族会としての大きな役割のひとつだと、わたしたちスタッフは考えています。聞いてくれる相手がいるということはとても大切なことです。しかしそれができない今、みなさまどうされていらっしゃいますでしょうか。きっと頭の中を同じ考えがぐるぐる回るだけでそこから抜け出すことさえできず、お辛い思いをされているのではないでしょうか。

そこで、「誰かに話す」という作業をおひとりおひとりの中でしてみてはいかがでしょうか?「愛する方のお写真に語りかけてみる」のはもちろんですが、独り言でもよいと思うのです、気持ちをそのまま口にしてみることが大切です。

また文章にしてみるのもよいことだと思います。「文章」と言われると「無理無理」と思われるかもしれませんが、堅苦しく考えなくてもその時の気持ちを殴り書きすることから始めてもよいのです。書くことで不思議と頭の中が整理されたり、時間が経って読み返してみると「ああ、こんなこと感じてたんだ・・・ちょっぴりだけど変わったかもしれないな・・・」と感じることもあるかもしれません。もちろん「全然変わらない・・・」と思うことも大いにあり・・・。文字として具体的に目で見ることによって、自分の思いが浮かび上がり、いろんな気づきが与えられることがあります。また次に誰かに会えた時、それを見てもらって話をすることもよいかもしれません。

たくさん書きたければたくさん、たくさん書けなければちょこっとだけ。決して無理をせずご自分のペースでルーティーンにしてみるのもよいかもしれません。(W.K.)

私のある一日

新型コロナウイルス感染症で、世界中が大変な状況の中、多くのものを失って過ごしています。
今までの生活リズム、仕事、自由に出かけること、何より安心という気持ち。
安心して人と会い、対話するという普通で大切なことができず、大きなストレスも感じています。

日々の重く暗いニュースに不安がつのることもあります。
以前の生活に戻ることはなかなか難しいようで、「コロナ疲れ」という言葉もよく耳にします。

私自身、亡くなった人を想い、一緒にいてくれたら、気持ちを分かち合えたら、どれほど気が紛れたり、心強いだろうと思います。
穏やかだったかなしみが大きく膨らみ胸がざわつきます。

先日体調を崩した時、心と身体はとても呼応しあっていると実感しました。
そして心身のバランスを保ち、少しでも穏やかに過ごすために日常生活を整えようと反省しました。

家事や軽い運動で屋内でもできるだけ身体を動かすようにし、ベランダでは草木に水をやり、空を見上げ、風を、季節を感じて気分転換しています。
また、ひとり暮らしでは難しいことでもありますが、1日単位でできるだけいろいろな食品を摂るようにしたいと努力中です。
そしてなかなか寝付けなくても横になり目を閉じるようにして、睡眠も規則正しくなるようにと心がけています。

筆まめな人とは手紙のやりとりで、メールやビデオ通話を使って、近況や気持ちを伝え合い、お互いに閉塞感や孤独感を晴らしたりしています。
今できることを探し、活用して、好きなことも楽しみながら…

そして、朝な夕なに亡き人に一日の報告をしています。

ささやかですが私はこのような日毎の積み重ねを大事に今を過ごしています。

亡き人を思うにも個性や背景があり、悲嘆とともに過ごしていく過程も異なるようです。
もし必要ならば、あなたはあなたらしい過ごし方を探してみてはいかがでしょうか。( N.H.)

15年が経った今思うこと

今日2020年4月30日、ゴールデンウイークが昨日から始まりました。例年なら多くの人が外出して休日を楽しむのでしょうが今年は違います。しかし身内を失った方々の思いはどうでしょうか?もともとゴールデンウイークなどは眼中になく、もしかしたらコロナウイルスの感染拡大のことも少し上の空かもしれませんね。

私は2005年の福知山線事故で18歳の娘を亡くし、15年が経ちました。今年の慰霊式は中止になりましたが、その日我が家は事故現場に行き拝んできました。我が家以外には一組いただけで、あとはJR西の役員、社員でしたので、ざわざわせず、ゆっくりとすごせました。思うことがたくさんありますがその一部を語りたいと思います。

・悲しみとどう付き合うか、つまり、苦しすぎてそこから逃れようとするのか、どっぷりと悲しみにつかるのか、そんな選択を行ったり来たりしてきましたが、結局は否が応でも付き合わざるを得ないということだと思います。逃れられないのは逃れられないほど愛情が深いからだと思います。ですから苦しくてもその苦しみの深さと付き合うことそのものが喜びになっている自分を発見します。

・死後のこと。ある説では、どんなに考えても死後の世界を知っている人はいないし、わからないのだからそのことを考えることをやめる、というものがあります。でもこの考えはどうも死後のことを掘り下げるという問題に対して、考えずにあきらめるということで、放棄でもあり、それが正しい答えのようで、ずるいように思いますが、それもありなのかとも思います。私の思いは死後のことはわからないのだが、私が死んだらきっと娘と会えると思っています。私の両親はかなり前に亡くなっていますが、よく彼らに娘をよろしくとお墓で言います。また亡くなった知人には娘がいるから仲良くねと拝んだりします。

以上ひとつひとつのことをもっと掘り下げて述べたかったのですが、重く読みにくくなってもいけませんのでこの辺にしておきます。(N.S)

抵抗力をつけるために歩きませんか

新型コロナウイルスの感染が収まらない状況ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。極力外出を避けるようにとの要請が出されています。しかし、自宅にこもっては体力も落ちてきます。
現在「抵抗力」が大事だと言われ、睡眠、バランスの取れた食事、ストレスをためない生活、適度な運動など、生活上注意する事が喚起されています。
悲しみの最中にあるご遺族は、特に抵抗力が落ちると言われますので、どうぞ十分気をつけてください。
しかし、以前の生活を取り戻すことさえ難しい皆様にとって「抵抗力」をつけることは容易な事ではありません。

そこで提案ですが…
*1*
どうしても買い物に行かなければなりません。その時少し余裕をもって『遠回り』して買い物してみませんか。
その時歩いた時間を暦とか日記・メモ帳に【買い物30分】と記入しておくことをお勧めします。
散歩ができそうな方は人通りの少ないコースを探して、
【郵便局コース:20分】
【淀川コース:30分】と記録しておきます。
いいコースがみつかったら、歩く速度を無理ない程度で速めて、時間を少し短縮できるようにしてみましょう。そして外出の際は、必ずマスクを着用してください。

*2*
最近、テレビでいろいろな体操や補強運動が紹介されています。軽いものでもいいですからやってみませんか。そうすることで、食欲もわくかもしれません。
睡眠も少しとれるような変化がみられるようになるかもしれません。
食事はバランスというより、食べたいものを食べましょう。

現在遺族会の会場が閉鎖されて、いつになったら開会できるのかと思っています。私たちスタッフもこのような体験は初めてです。分かち合いの皆さまと会えない中、どのようにして暮らしておられるのでしょうか。
いつかは会える時が必ずきます。その時は、どのようにして生活されてきたか、ぜひお話しください。教えてください。
いま、本当に大変な時ですが、踏ん張ってこの時をともに耐えていきましょう。(F.Y.)

今春は…

今春は、花見の宴は開かれず、桜の花は人知れず咲き散っていくのでしょうか。古今和歌集に次のような紀貫之の歌があります。

「さくら花 散りぬる風の なごりには 水なき空に 波ぞ立ちける」

桜の花びらがひらひらと風に舞う様子が、水面に波が立つようだと表現しています。愛する人を亡くした悲しみで、心が波立つのと似ているように思います。
亡き人を思うと、悲しみが波のようにくり返し押し寄せてきます。波紋は波紋を呼び留まることはありません。苦しみの尽きることのない不安に押しつぶされそうです。

現在、新型コロナウイルスの感染が拡大し人々の心は不安でいっぱいです。

愛する人を失った悲しみを抱えながら、不安な日々を過ごさなければならない辛さは如何ばかりでしょう。

NHKの「こころの時代」で清水真砂子さんが『ゲド戦記』の中の文章を紹介されていました。
“All the hope left in the world is in the people of no account.”

このような状況にあって、この世界に残された希望は私達一人一人の中にあり、希望を託されているのは名もなき私達一人一人なのだというのです。

私が亡き人を思うとき、失くしたくない想いがあります。共に生きた喜びと死別の悲しみ、それら全てを、たとえ辛くても失くしたくない希望を私は持っています。亡き人を偲ぶ時として、今を過ごそうと思います。
(M.S.)

「コラム」でスタッフからのメッセージ掲載

はすの会ホームページをご覧のみなさま

世界中が経験したことのないような事態が続いている中、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

現在の状態がいつまで続くのか予想をすることができません。しばらくの間、ホームページで開催状況をお知らせして参りたいと思いますのでご覧ください。
早く事態が終息し平常通りに定例会を行えるようになる日を待ち望んでおります。

さてこのような状況下で家から出る機会が少なく、どなたかとお話をする機会もきっと減り、愛する方を亡くされた悲しみをどうすればよいのか困惑されている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

定例会にいらっしゃれる日まで生活をしていくヒントになるようなことをスタッフからお伝えしたく、こちらの「コラム」に掲載することにいたしました。
少しでもお役に立てれば嬉しく思います。

ご挨拶

はすの会は、ご家族を亡くして悲嘆の中にある方が同じような体験をした人たちと出会い、その悲しみ、苦しみ、寂しさや怒りなどを語り合う会です。その中でお一人お一人が何か大切なものを見つけて少しでも心が軽くなることを願って2012年3月に設立しました。あなたもその重荷をしばらくおろしてみませんか?

人の一生は「喪失体験の一生」と言われています。その喪失の中でも最も辛いのは愛する人の喪失ではないでしょうか。「なぜ?」「どうして?」という疑問や怒り、生き残っている罪責感などを抱え、「このような悲しみが他人にわかるはずがない」との思いから、つい孤立してしまう方々も少なくありません。

今あなたが抱えておられる悲しみや怒りや不安などを一人で悩むのではなく、あなたと同じような体験をされた方々と出会い、今のお気持ちをお話になってみませんか?その出会いの中で少しでも心が軽くなって、何か大切なものを見つけることができるかもしれません。

遺族会 はすの会のHPをリニューアルしました

遺族会はすの会のHPをリニューアルしました。

分かち合いの会についての問いあわせは以下のメールアドレスまたは電話で承っております。

■問い合わせ
メール:hasuno-kai@hasuno-kai.org
電話:080-8318-7933 ※電話の受付時間は 9時〜17時です。

活動予定 東大阪 

活動予定 神戸 

 

はすの会は2012年3月、上智大学グリーフケア研究所修了生によって設立されました。

JR西日本あんしん社会財団からの助成金で運営されています。※2019年現在

スピリチュアルケア師

【スピリチュアルケア師】
2013年9月、日本で最初の「スピリチュアルケア師」が誕生しました。
「スピリチュアルケア師」とは、ご家族や愛する方を亡くされた方、又、ご本人が死と向き合い悲嘆の中にある方などをケアする専門家です。

全人的にその方のあるがままを受け入れ支えていくケアをすることを目指しています。従ってスピリチュアルケア師には、あらゆる分野での理論的な学びと共に、実践の場における厳しい研鑽が要求されます。

米国を始め全世界ではスピリチュアルケアを行う資格を有する者が活躍していますが、この度日本では初めて「日本スピリチュアルケア学会」が資格として認定します。

第1回の資格認定では100名ほどが認定され、この後毎年認定者が生まれ活躍の場が広がっていくことと思います。
「はすの会」からは2名が「スピリチュアルケア師(専門)」として認定されました。これは実に意義深いことだと思います。(N)

水のこころ

【水のこころ】
暑い毎日が続き、水が恋しい季節ですね、
詩人・高田敏子さんの『水のこころ』という詩をご存じでしょうか?
小学校5年生の国語の教科書に掲載されています。

水のこころ
高田敏子

水は つかめません
水は すくうのです
指をぴったりつけて
そおっと 大切に──

水は つかめません
水は つつむのです
二つの手の中に
そおっと 大切に──

水のこころ も
人のこころ も

「水」も「こころ」も掴むのではなく、そっと大切にすくい、つつむものと詠っています。優しさと愛おしさ、そして大切な方への思いを一滴もこぼさないように手の中にしまっておきたい気持ちが感じられます。
私たち「はすの会」のスタッフも、旅立たれた方を思うこころを大切に寄りそっていきたいと思います。(M)